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渉外相続

投稿日:2022/08/29

国際関係の法律には、大きく分けて国際法(国際公法)と国際私法があります。

国際法は、条約や国際慣習法など主に国家間の関係を規定する法です。これに対して、国際私法は国内法の一部であり、民事法に位置付けられます。日本では「法の適用に関する通則法」がその代表的な法律です。国際結婚や、国際養子縁組そして渉外相続などを扱うのが国際私法です。このように、法律関係を構成する諸要素が複数の国に関係を持つようなものを「渉外的法律関係」と言います。このような「渉外的法律関係」に安定を付与するため①統一法の形成、②国際私法による準拠法の決定という二つの方法があります。

国際私法は、結婚、相続等の渉外的法律関係の問題に対して、どこの国(籍)の法を使って解決せよと指示してくます。先ずは、主訴は何か(法定決定)を見極め、次に主訴となるテーマごとに適用される法律を探すヒント(連結点)を与えてくれます。それに従って、適用されるべき法律(準拠法)を特定し、適用解決すればよいというになります。

渉外的法律関係に関するイシューには、①法律関係の性質決定②連結点の確定③準拠法の特定④準拠法の適用というプロセスを経て、問題解決していくこととなります。従って、問題解決には、国ごとに国際私法関係を把握して、各国法によらなければなりません。

渉外相続に関し、国際私法・外国法(相続法)が適用される代表的な地域に、中国、韓国、台湾、フィリピン等があります。各国ごと、問題解決策を検討していく必要があります。

詳細は当オフィスにご相談下さい。

各国・地域の国際私法・相続法

渉外相続に関し、国際私法・外国法(相続法)が適用される代表的な地域に、中国、韓国、台湾、フィリピン等があります。
ここでは中国の①国際私法関係、②外国法(相続法)について述べます。

①国際私法

準拠法に関する原則について、日本の法の適用に関する通則法36条は「相続は、相続人の本国法による」と規定しています。中国の国際私法である「渉外民事関係法律的用法」(以下、「法律的用法」といいます)の31条は「法定相続については、被相続人の死亡時の常居所地の法律を適用する。ただし、不動産の法定相続には不動産所在地の法律を適用する」と規定しています。つまり、同条は「相続分割主義」を採用し、動産相続については被相続人の死亡時の常居所地法を、不動産については不動産所在地法を適用します。

遺言の効力については、法律的用法33条は、「遺言者の遺言作成時又は死亡時の常居所地法または国籍国法を適用する」と規定しています。同条は、遺贈や相続分の指定などについても優先的に適用されると解されています。故に、法定相続に関する同条31条が適用されるのは、①遺言がない場合、②33条により遺言が無効とされる場合、③遺言による相続人が相続放棄した場合、④受遺者が遺贈放棄した場合などに限られるとされます。

そして、同法33条は複数の選択肢をあげており、確定的に日本法を準拠法とするわけではないことから、日本の通則法41条にいう「その国の法に従えば日本法によるべきとき」とはいえず、日本法へは反致しないと解されます。
従って、遺言がない場合の法定相続については、日本の通則法41条の反致の規定により日本の民法を適用すればよく、遺言相続の場合は日本法に反致しないことになります。

ただし、中国では、遺言作成は一般的ではなく、ほとんどが法定相続になります。

②外国法(相続法)

(1)中国の相続法
   
中国の相続法「中華人民共和国承継法」(以下、「継承法」といいます)は、2020年5月28日に「民法典」が成立し、2021年1月1日に施行されると同時に廃止されました。相続規定は、民法典(全7編及び附則の合計1260条)の中で、一編として規定されることになりました。民法典の相続編は基本的に継承法の内容を踏襲しています。

(2)承継法の特徴
①権利義務一致の原則
②生活の保障
③心留分(定型的・機械的な遺留分制度)

(3)法定相続、遺言相続、遺言扶養取決め(ほぼ法定相続)
(4)相続順位(日本とは順位が異なる)
(5)相続分(原則:均等、例外:協議・不均衡)
(6)代襲相続
(7)相続問題の解決方法(協議、調停又は訴訟)
(8)遺言方式(公証遺言、自書遺言、代書遺言、録音遺言、口頭遺言)

等の継承法の内容を踏襲した「民法典:相続編」の特徴((2)~(8))があります。

このように、渉外相続問題解決には、国ごとに、国際私法関係を把握して、各国法(相続法)により検討していく必要があります。

詳細は当オフィスにご相談下さい。


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